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世の中には「最新情報」があふれています。 もちろん、その情報を発信した時には本当に最新だったでしょうが、それは何年も前なのかもしれません。 あなたがそれを見つけた時に最新とは限りませんよね。 特に、情報セキュリティ対策では、情報の鮮度が大切です。 古い情報を元に対策したって、そのコストに見合う効果が得られません。 前々回(信じられる情報源とは何か:404号)に情報の取捨選択のお話をしましたが、今回は、その続きとして、「最新情報」をどうやって得るか?という視点でお話をします。1. 最新情報を集めるのは難しい
ネット上に、最新情報はたくさんありますが、その中には自称「最新情報」もまたあふれています。 発信している側に悪意がなくても、更新されない情報は時間が経てば、自動的に「自称最新情報」にならざるを得ません。 これが、リアルな期限のあるものならいいのです。例えばイベントの紹介記事で「最新情報!開催迫る!」という3年前の記事があっても、「ああ、これは以前のイベントの話なのね」とわかりますから、大きな問題にはなりません。 ですが、情報セキュリティ対策の話ともなると、そうも言ってられません。 古い情報なのか?現在も有効な内容なのか?といったことは常に意識しながら利用しないと、思わぬ結果を生み出しかねません。 例えば、利用しているソフトの最新バージョンを確認したいとします。 検索すると、第三者の紹介記事「○○ソフト最新バージョン詳細レビュー」がトップに出てきました。さて、この記事に書かれたバージョンは本当に最新でしょうか? 答えは「わかりません」ですよね。 そりゃそうです。検索した結果が一番新しいかどうかなんて誰も保証してくれませんから。2. インターネット検索で工夫できる?
となると、次に考えるのは、Googleなどの検索サービスで日付順に表示してもらうことでしょうか。 残念ながら、これも現状では難しそうです。 以前はGoogleでは日付順で表示するオプションがあったのですが、現在はなくなってしまったそうです。その理由は各ページの作成日時を正確に知る方法がない(技術的に困難)だからです。 確かに日付順の並べ替えができるサービスは英語圏では残っているようですが、日本語で利用できるサービスとなると、事実上存在しないというのが現状です。 余談 筆者はfresheyeという検索サービスを一時期使っていました。 このサービスでは、検索結果を日付の新しい順に並べてくれていました。 この記事を書くにあたって、皆さんに紹介しようかと調べてみたら、2024年にサービス終了になっていました。残念。3. 生成AIに聞けばいいのか?
次に思いつくのは生成AIを利用する方法でしょうか。 確かにこれを書いている2025年現在、生成AIは非常に優秀なサービスです。 URLを与えて、文章を要約してもらったり、音声データから議事録を作ったり、作成した文章の文法チェックなんかは、お手のものです。 ですが、情報の鮮度という点では、あまり有効とは言えません。 確かに検索エンジンに比べれば、ある程度は鮮度を意識した情報検索はできますが、それも情報ソースに日付が明記されている場合に限ります。 というのも、生成AIが記憶している(学習済の)データには、日付情報が含まれていないからです。(とchatGPT自身が言っていた)つまり、「いつ書かれた情報なのか?」という視点では判断ができないのですね。 情報の鮮度をチェックするのは、その情報を受け取る人がやるしかありません。 結局のところ、人の目というのが一番頼りになる指標なんですね。 ラクできないのは、ちょっと残念ですが。4. 現実的なチェック方法
だからといって、徒手空拳というのも極端ですので、いくつかの方法をお伝えします。 まず、大原則は、インターネット上でページを見る時に「いつ公開されたのか」を常に気にすることです。 ニュースはもちろん、発信日時が書いてありますし、ブログや情報提供型のページなどでも、ページの最初や最後に日付が書かれていることが多いです。 明記されていなくても文中の記載である程度(年単位)の時期は推測できます。 こんなことするのは面倒そうに感じますが、慣れると自然にできるようになります。 チェックしても、時期がわからない文章は「最新情報」扱いとしない方が安全です。 さて、生成AIを利用する方は、もう一点気にして欲しい点があります。 上述のように生成AIは非常に便利な反面、その情報の鮮度についてはあまり信頼を置けません。ですので、生成AIに何かを聞いた後に、「この情報の元となったURLを教えて」と言ってみてください。 Web検索機能が有効になっている生成AIなら、多くの場合、参照元ページ(URL)を教えてくれます。ただし、生成AIが自分の記憶(学習データ)だけを元に回答する場合は、提示できないこともあります。 なお、Windowsをお使いの人なら、標準でついてくるEdgeというブラウザに、Copilotという生成AIサービスが同居しています。このサービスでは回答を作るのに使った参照元ページ(URL)を末尾に表示してくれます。回答の根拠がわかると、やっぱり安心ですね。5. まとめ(今日からできること)
情報セキュリティ対策として、最新情報を得ることは大切です。 特に1年以上前の情報を、セキュリティ対策の拠りどころとすると、大きなリスクを見落としかねません。せっかく労力かけて調べたのが台なしですよね。 残念ながら、現状では、Googleなどの検索エンジンでも、生成AIでも、情報鮮度を正しく把握することは難しいのが現実で、人手によるチェックが欠かせません。 また、新聞や雑誌でも、古臭い情報をさも最新のように掲載することがありますので、全幅の信頼は置けません。(もちろん、技術系の専門誌などは信頼できます) 今日からできること: ・調べ物をしたら日付を見るクセをつけよう → セキュリティネタなら「1年以上前」は要注意 ・生成AIの活用は大いに推奨。 → でも全幅の信頼はNG。参照元URLは必ず確認 今回は情報鮮度の見極め方についてお話しました。 次回もお楽しみに。 (本稿は 2025年5月に作成しました)
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