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2025年10月14日。Windows10のサポートがいよいよ終了します。 調べてみますと、Windows10は2015年に登場ですから、早10年。 逆に10年間も続いてたんだ、と驚きます。 さすがに、10年前のPC(パソコン)を使っている方は少数でも、5年前のを使っている方はそこそこおられるでしょう。 今回は、Windows10のサポート終了で何が起きるか?どうするべきか?をお話します。1. サポート終了って?
サポート終了というのは、メーカによる「もう面倒見ませんよ」という宣言です。 電話サポートはもちろん、バグ修正も停止になります。 一見たいした影響はなさそうに見えますよね。でも、結構深刻です。 バグ修正をしないと宣言しますので、致命的な問題が見つかっても修正(Windows Update)は行われません。ということは、マルウェア(ウイルスなどの悪意のあるプログラムの総称)を作る側がバグを見つければ、攻撃し放題で、防ぐ手だてがないことになります。 これを逆の立場、つまりサイバー攻撃を仕掛ける視点で見ると「数年に一度の大きなチャンス」なのです。 通常ですと、攻撃側が手間暇をかけてOSの脆弱性を見つけ、それで攻撃を仕掛けます。 ですが、その攻撃が知られると数日から数ヶ月でその穴は塞がれます。 攻撃の事実を知ったMicrosoft側がWindows Updateで脆弱性を修正するからです。 攻撃を続けるには、新たな脆弱性を探したり、新たな攻撃手法を開発しなければなりません。要は手間がかかります。 ところが、サポート終了したOSでは、脆弱性を塞ぐ人はいなくなり、攻撃側が優利になります。 なお、マルウェア対策ソフトはOSが堅牢である前提であって、OSの脆弱性は守備範囲外です。 つまり、サポート終了後のOSを継続利用することは、攻撃から身を守る手だてのほとんどを失うことになります。2. なぜサポート終了するのか?
「えー、そんな勝手な。ずっとサポートを続けてよ」と言いたくなりますが、Microsoft側はそうもいきません。 ぶっちゃけ、メーカにとって無償サポートは負担にしかならないからです。 Windows Updateは無料ですが、運営維持にはものすごいコストがかかっています。 Windows Updateのインフラ整備・運用、脆弱性修正などの費用は公開されていませんが、、数百億円のオカネがかかっていても、全く不思議ではありません。 会社として、これを利用者に永遠にタダで提供し続けるわけにはいきません。 そもそも、ソフトウェアの保守費用が無償というのがかなり例外的です。 コピー機だって、クルマだって、点検や保守は有料があたりまえですよね。 タダで遊べるスマホのゲームアプリだって、広告収入があるわけです。 Windows Update自体は無償ですから、どこかで古い製品のサポートをやめないと、回らなくなるのは自明です。 だたですね「ソフトウェア提供元は無償サポートを提供していてエラい」とも言い切れません。 だって、バグや脆弱性があることを前提に出荷した上で、それが見つかるたびに「ゴメンね。すぐ修正するね」とやってるんです。 あまり威張れた話ではありませんね。3. Windows10のサポート終了
Windowsのサポート終了は、今回に始まったことではありません。 WindowsXP(2014年)とWindows7(2020年)のサポート終了時には、かなりの混乱がありました。特にXPの時には、Microsoftが異例のサポート延長をせざるを得ないこととなりました。 Microsoftとしても、同じ轍は踏みたくありませんから、Windows10発表時に、1年間の無償アップグレード期間を設定したのですが、それでもWindows7 のままで利用する人が非常に多く、Windows7のサポート終了時にも、それなりにトラブルが発生しました。 今回のWIndows10では、Microsoftはさらに手厚いサービスを提供しています。 ・Windows10→11への無償アップグレードを無期限で提供 ・Windows10のESU(拡張アップデート:後述)を組織向けだけでなく、個人にも提供 こういったMicrosoft側の努力もあり、今回のサポート終了では大きなトラブルは起きないと筆者は考えています。4. Windows11への移行をする?しない?
さて、Windows10が終わるのはわかった。そのままではいけないのもわかった。 じゃあ、どうするのがいいのか? 前回(2025年4月の402号)では、買い替え、アップグレードの2択であれば、買い替えが現実的だ、というお話を書きました。 Windows11対応には買い替えが現実解(402号) https://note.com/egao_it/n/n9c5ad1b56002 その後、拡張アップデートという選択肢が加わり、3つになりました。 1. 素直にWindows11 PCを買う 2. 現行のPC(パソコン)をWindows11 にアップグレードする 3. Windows10のESU(拡張アプデート)に加入(原則有償)する 結論から申し上げますと、筆者のオススメは、やはり「1. 素直にWindows11 PCを買う」になります。 何よりも、手間がかからず、問合せ先が明確、だからです。 要はトラブル発生時の対応が格段に楽なのです。 それでも、Windows10のPCを使わざるを得ない方には、3つ目のオプション、ESUが役に立つ可能性があります。5. ESU(拡張セキュリティアップデート)とは何か?
ESU(Extended Security Update)というのは、Microsoftが提供する、いわば有償版のWindows Updateです。 このESUに加入すると、最大3年間は、脆弱性対策などのセキュリティアップデートの提供が受けられるようになります。 1年目はPC(パソコン)1台あたり61ドル、2年目は122ドル、3年目は244ドル、と倍々に価格が上がっていく方式です。(これは法人向けの価格。個人用は、3500円) Windows7の時もESUは提供はされていましたが、法人専用オプションで、個人では申し込みができませんでした。 この「法人専用」というのが多少クセモノでして、Microsoftにとっての法人というのはEntraIDという管理IDを保有し、その管理下に登録されているPCだけが対象となります。ですので、EntraIDを取っていない場合は、法人であっても、個人用のPCを業務で使っているという扱いになります。 そのため、Windows7の時点では、多くの中小企業がこのESUに加入することができませんでした。 今回のWindows10では、ESUに個人アカウントでも申し込めるようになりました。ただし、個人アカウントでの加入は1年間だけ、という制約があり、3年間の加入はかないません。 それでも、Windows10を継続して業務利用せざるを得ない場合には、大いに助けになります。 例えば、工場での生産ラインの制御(シーケンサ)や、工作機械のプログラム作成支援など、Windows10のままで利用したい(アップグレードしようとすると全社の設備更新になる)ケースがあります。 こういった場合でも、ESUに加入することで、少なくとも1年間は延命ができることは福音です。 とはいえ、ESUはあくまで延命措置であり「その場しのぎ」にすぎません。 本命はWindows11への買い換えであることは確かです。6. まとめ
いよいよ、Windows10のサポート終了が2025年10月14日――日本時間では10月15日の午前9時――に迫っています。(この記事を書いているのが10月12日) 皆様の中に、まだWindows10を利用している方がおられましたら、早急に新PC(パソコン)を手配されることを強くオススメします。 当面をしのぐという意味であれば、今回のWindows10では、個人利用のPCでもESUという拡張サポートに申し込みができます。 1年間という期限はありますが、新PCの手配までの期間は、時間を買うつもりで、ESUに加入し、新PCへの移行準備期間として、活用してください。 今回は、Windows10のサポート終了についてお話をしました。 次回もお楽しみに 今日からできること: ・Windows10 PCの継続利用はリスキーです。 →Windows11用への乗り換え準備を進めましょう。 ・Windows10 PCを使用する場合は、ESUに加入しましょう。 (本稿は 2025年10月に作成しました)
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