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メールマガジン「がんばりすぎないセキュリティ」No398 (25/03/17)

無線LANの規格ってややこしいよね(398号)


無線LANには様々な規格が定められています。

中には同じことを示す用語が複数あったりして複雑な状況です。

今回は、ご参考情報として、無線LANの規格を紹介します。


1. 無線LANといえばIEEE

無線LANの規格は主にIEEE(アイトリプルイーが正式呼称、アイスリーイー、アイイーイーイーなどとも)が定めています。 このIEEEという団体は様々な電気関連の規格を定めています。 無線LANでIEEEがよく登場するのですが、別に無線LANの団体ではありません。 IEEEは実に多様な規格をさだめていますが、そのうち無線LANに関するものが 802.11シリーズと呼ばれる一連の規格として定められています。

2. 802.11にも多数の規格

最初の802というのはLAN(ネットワーク)の規格全体を指します。 例えば有線LAN(イーサネット)の規格は 802.3 ですし、802.11は無線LANについての規格といった具合です。他にもたくさんの分科会がありますが、あまり著名なものはありません。 今回は、そのうち無線LANに関する話ですので、 IEEE 802.11 についてのお話となります。

3. 802.11acの"ac"ってナニ?

802.11の無線LANの分科会の中でも実に多様な議論が行われています。 そのため、目的に応じて、枝番としてアルファベットを補ってグループ名としています。 最初は、 802.11(枝番がつかない)から802.11a、802.11bといった具合でa-zまでがグループ名に割り当てられています。 無線LANの場合は802.11z以降も次々と枝番が必要となったため、今度はaa〜azまでが作られ、次にba〜gzが使われています(現在は802.11bnまであるようです) 無線LANの速度は様々な工夫によって、次々と高速化されています。 無線LANの規格のうち、通信速度に関する規程としてはつぎのようなものがあります。  802.11(無印)  802.11a  802.11b  802.11g  802.11n  802.11ac  802.11ax  802.11be これ以外の枝番には、セキュリティ強化のための802.11iだとか、他のネットワークとの相互接続を定めた802.11uや802.11aaなどもありますが、上記の速度向上に比べると地味、人目を引くことがないため、ほとんど知られていません。 無線LANの製品を作るメーカはこういった地味な規格も丁寧に実現しているわけです。

4. Wi-Fi5、Wi-Fi6

とまぁ、以前(2010年代くらい)は、この802.11gだとか802.11nといった標準化グループ名を覚えていました。 ですが、無線LANが一般化するにつれ、こんな番号や枝番の意味がわからない人が増えてきます。例えば、802.11acと802.11nを比べれば、なんとなく802.11nの方が新しい規格じゃないかって思いますよね。 そこで、Wi-Fiアライアンスという団体が、無線LANの規格を一般の方にわかりやすく掲示しようとし始めます。 ちなみに、Wi-Fiアライアンス自体は、無線LAN機器のメーカ間でちゃんと接続できるかを検証するための機関としてかなり前から存在しています。 このWi-Fiアライアンスが定めた標記がWi-Fi5やWi-Fi6 なのです。 ですので、例えば802.11acとWi-Fi5は同じものを指しています。 具体的には以下の通りです。   Wi-Fi4 = 802.11n   Wi-Fi5 = 802.11ac   Wi-Fi6 = 802.11ax   Wi-Fi7 = 802.11be

5. で、どれが速いの?

めちゃくちゃシンプルな話で、Wi-Fiの後の数字が大きい方が新しい規格であり、より高速です。 そりゃそうです。802.11シリーズのわかりにくさを解消するために作られた標記がWi-Fiなのですから。 というわけで、2025年現在はWi-Fi7が最新なのですが、だからといって、旧規格の機器が使えないわけではありません。 というか、無線LANの規格の大半は、旧規格との共存を第一に考えられていますから、旧規格しか使えない製品であっても、問題なく接続ができます。

6. じゃあ、Wi-Fi7対応機器の一択?

これから買うネットワーク機器は全てWi-Fi7にすべきでしょうか? 筆者は必ずしもそう思いません。 既にWi-Fi7対応の端末(スマホ、タブレット、ノートパソコンなど)をお使いであれば、もちろんWi-Fi7対応を購入すべきです。 ですが、手元の機器がWi-Fi6対応のものばかりというのであれば、敢えてWi-Fi7対応のネットワーク機器を購入しなくても大丈夫です。 無線LANはネットワーク機器と端末の両方が対応している規格でしか通信できません。 どちらかだけがより高速な通信に対応していても、その規格では通信できません。 問題はせっかく高価な機器を購入しても5年も経てばメーカのメンテナンス期限が終わるという点です。 期限を過ぎた機器の脆弱性はメーカも修正してくれません。 大枚はたいて買っても、その機能を存分に発揮できる頃には製品寿命が尽きているかもしれないのです。だから、現在の手元の機器や直近に購入予定の端末に合った機器を購入をすれば良いと思うわけです。

7. まとめ

無線LANというのは2000年あたりから始まったのですが、現在では有線よりも無線を利用している人の方が圧倒的多数です。 なんといっても面倒臭くないですし、スマホのように物理的なサイズの問題で有線LANに対応できない端末も多いですからね。 一方で、無線LANも20年以上の期間を経て、様々な規格が登場し続けています。かといって各メーカの規格が乱立するといった形ではなく、各メーカが標準化団体に人を投入して、協同して規格を定めるという紳士的な進化をとげています。 現状では、802.11be(Wi-Fi7)という規格が最新です。 が、手元にWi-Fi7対応の機器が少なければ、わざわざWi-Fi7対応のネットワーク機器を買わなくても良いかもしれません。 今回は、無線LANの規格802.11シリーズとWi-Fiのお話でした。 次回もお楽しみに。 (本稿は 2025年3月に作成しました)

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