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メールマガジン「がんばりすぎないセキュリティ」No362 (24/07/01)

古いパソコンの処分、どうする?(362号)


パソコンは高価な割には、数年で古くなってしまいます。

使い続けたくても、OSのサポート期限切れなどで、買い換えざるをえないこともよくあります。

今回は、こういった古いパソコンの処分方法についてお話します。


1. PCリサイクル法

古いパソコンを普通にゴミとして捨てちゃダメってご存じでしょうか? パソコンにはいろいろと貴金属が使われています。 例えば、CPUには金や銅、コンデンサには銀やパラジウム、モータ類にはネオジムなんかが使われています。 以前だったら、もっといろんな貴金属が使われていましたが、最近は安く上げるための技術開発が進み、以前よりは使用量が減っています。 とはいえ、今でもパソコンに含まれるリサイクル可能な金属は多いですし、リサイクルの方が鉱石からの抽出に比べてずっと少ないエネルギーで済みます。 一部の国でしか生産できないような金属については、安全保障の点からもリサイクルすることは重要です。 ちなみにレアメタル(Rare Metal)は、文字通りレア(稀少)な金属全般を指す言葉です。 特定の金属のことではありません。 さて、このような事情を踏まえ、「パソコンはゴミにするのはもったいないので、リサイクルに回そうぜ」ということからPCリサイクル法(資源有効利用促進法)が2003年に制定されます。 それ以降に国内で販売されているパソコン(PC)はリサイクル料金込みで販売されています。ですので引き取り時にはメーカに引き渡せば手数料などは取られずに引き取ってもらえます。 「じゃ、メーカに電話するか!」の前にやっておくことがあります。

2. データの抽出を忘れずに

パソコンは情報機器ですから、内部にいろんな情報を抱えています。 廃棄してしまうと、二度と手に入らない情報は残っていませんか? 例えば、個人利用のパソコンなら、以下のようなものが含まれていませんか?  ・家族の古い写真  ・自作の文書ファイル(過去の家計簿、自治会の資料など)  ・インターネット接続に必要な情報(プロバイダ情報)  ・ブラウザのブックマーク  ・ブラウザに保管していたIDやパスワード また、会社のパソコンなら上に加えて以下が含まれるかもしれません。  ・サーバに保管していない業務用文書  ・今も使っているソフトウェアのライセンス番号 こういったデータは一時的にUSBメモリに保管しておくのが安全です。 どれが要るかわからない場合は、ドキュメントフォルダをまるごとコピーしておきましょう。 ある程度はこれでカバーできます。 (ライセンス情報などは別の所に保管される場合が多いです)

3. データの廃棄も忘れずに

基本的にリサイクル業者はデータを安全に廃棄してくれます。 とはいえ、過去にもリサイクル業者が漏洩事件を起こしたケースもありました。 気になる方はご自身でもデータを消しておきましょう。 消すといっても、自作の文書や写真を消す程度にとどめておきましょう。 消す方法も単にゴミ箱に入れた上で「ゴミ箱を空にする」まででOKです。 ハードディスクやSSDをまるごとフォーマット(初期化。すべて空っぽにすること)まではしないでください。 これをやってしまうと、Windowsすら動かなくなってしまいます。 なお、厳密には「ゴミ箱を空にする」をしてもツールを使えば復活はできます。 なので、これは売却先をどこまで信用するか?という話になります。 一般的には、消したファイルの復活をする必然性がないから問題はないだろうという話です。

4. 下取りに出す?売る?

多くの方にとっては、量販店やパソコンショップで次のパソコンを買うときに下取りに出すというのが一番無難な選択です。 何よりも面倒でなく、トラブルにもならない点がメリットです。 ただし、下取り金額は期待しない方がいいです。 タダよりはマシくらいに考えておきましょう。 また、自力で中古ショップを回って買い取り査定を受ける方法もあります。 量販店よりは多少面倒になりますが、下取りよりは高値で引き取ってもらえるかもしれません。 とはいえ、過大な期待はできません。 そもそも、パソコンという商品は中古が成立しにくい商品です。 中古パソコンの購入層はマニアやリセラー(再販業者)であり、彼らは価格にシビアです。 ですので、中古販売をするショップ側も高く買い取ると売れなくなりますので、どうしても査定価格には低くなりがちです。 最後に、オークションという売却方法があります。 オークションはおそらく一番高く売れますし、一番安く買えます。 ですが、それは知識が十分にあり、手間をかけることを惜しまない人に限ります。 特に問題が起きやすいのはトラブル発生時です。 互いに十分な知識を持っていれば、トラブル時も症状から問題発生箇所を合意でき、折り合えます。 ですが、片方が知識不足だと、こじれる可能性が一気に高くなります。 これは互いに不幸な話です。 ですので、一般の方はオークションでのパソコン売買はすべきではないと筆者は考えます。 5.廃棄する 最後にメーカに連絡しリサイクル法に従って廃棄(リサイクル)をしてもらうことも可能です。 この場合、基本的には無料引き取りとなりますので、お金は入りません。 この場合は、メーカ側が責任を負いますので、情報漏洩や横流しはまあ心配しなくても良いでしょう。 もっとも、売ろうと廃棄しようと100%事故が起きない保障はありません。 所詮は人間がやることですから。

6. まとめ

パソコンはおおむね5年もすれば、速度的にも見劣りがするようになってきます。 そのため、買い替えが必ず発生します。 パソコンはPCリサイクル法の対象ですので、製造したメーカが無償引き取りをしないといけないルールになっています。 20世紀のパソコンなどPCリサイクル法の施行前の古いパソコンはお金を払って引き取ってもらうルールになっています。 ですが、そこまで古いと逆にビンテージ(年代)ものとして評価されそうな気もします。 通常に新しいパソコンに買い換える場合は、量販店やパソコンショップに古いパソコンを持ち込んで下取りしてもらうのが一番ラクチンです。 他にも中古の買い取り専門店などもありますが、査定額が大きく違うこともありません。 手間をかけるほどの価値はないように思います。 金額だけを考えるとオークションが一番高く売れると思いますが、オークションは互いに十分な知識を持っている前提の取引になりますので、トラブル発生時に相手に翻弄されて、不満を抱える可能性が濃厚です。 気持ちよく取引を行うためにも、あまり知識のない方のオークション利用は筆者はオススメしません。 今回は、中古パソコンの処分(売却)方法についてお話しました。 次回もお楽しみに。

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